富山地方鉄道富山港線の礎となった富岩鉄道が7月、開業100周年を迎えた。路線は富山のまちと岩瀬港を結び、人々の暮らしを見つめ、県都の発展を支えてきた。富山市内にわずかに残り、歴史を肌で感じる「世紀のレガシー」を紹介する。

富岩鉄道の開業を伝える北陸タイムスの記事
富岩鉄道は、北前船で栄えた岩瀬の港町の近代化を目指し、明治の終わりに地元の有志によって建設が計画された。いったんは頓挫したが、第1次世界大戦に伴う好景気で県内の工業化が急速に進むと、伏木港に次ぐ外港として東岩瀬港が注目を集めるようになる。地域の将来性に目を付けた滑川市出身の土木実業家、実業家の加藤金次郎らが関わり、1924(大正13)年7月23日に富山口―岩瀬港間7・5キロが開業した。

富山口駅の全景。開業当初はここから岩瀬港を結んだ
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世紀のレガシーの1カ所目は、1924(大正13)年に越中岩瀬駅として建てられた駅舎。1950(昭和25)年に東岩瀬駅と改称され、住民に長年親しまれてきた。

東岩瀬駅として長らく使われてきた。現在は休憩所となっている
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