プロ野球ドラフト会議で阪神タイガースから育成1位指名された富山GRNサンダーバーズ投手の松原快(黒部市出身、高朋高出)は、最速156キロの直球を武器とする。高校時代も140キロを超える直球で本格派右腕とみなされていたが、この評価が松原のブレークを遅らせた理由の一つとなる。松原は高校卒業後、社会人野球に身を投じて気づく。「僕は変化球投手」だと。

力投する現監督の藤田=2016年、高岡西部総合公園

藤田太陽から投法の助言

 松原が2018年に加入したロキテクノベースボールクラブ(当時)は、阪神などで活躍した藤田太陽(当時は選手兼コーチ、現監督)を先発の軸に投手陣は若干名の構成であり、ルーキー松原の登板機会も多かった。

 2019年、都市対抗野球の2次予選(北信越)が富山市民球場で開催され、ロキテクノは準決勝で延長11回サヨナラ負けを喫している。先発した藤田が3回2失点で降板。引き継いだ松原が8回途中まで1失点でしのぎ、味方打線が食らいつくという展開を生み出した。「初めて都市対抗に行けるかもしれないと、気持ちを込めました。僕は若く、30代の先輩もいる中で野球をする。必死でした」と振り返る。

ロキテクノ時代の松原(本人提供)

 ロキテクノ富山に改称された在籍3年目はコロナ禍のシーズンとなり、対外試合はほぼなかった。投手陣が拡充される一方、松原は直球の最速が148キロと伸び悩みを感じていたという。そんな時、藤田は松原に「サイドで投げてみて」とアドバイスを送った。「右オーバースローの投手ばかりだったので、太陽さんもたまたま言ったんだと思いますけど2、3球投げてみると『これ、いけるんじゃないか』と思いました」

メイン球種はスライダー

 さらに、松原は自分がメインとすべき球種が、直球でなく

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