「男女間の友情は成立するか」。これまで多くの映画やドラマで語られ、私も学生時代に友人と議論し、口論にまで発展した。
本作でもテーマの中心に据える。疎遠になっていた男女が40代で再会し、かつての友情を取り戻そうとする。いい大人が子供っぽい行動で周囲を振り回すハチャメチャなコメディだ。

イラスト:kumiko yamaguchi
子育てに励むシルヴィアは旧友ウィルの離婚を知り、数年ぶりに連絡を取る。ひさしぶりに会う彼は、はやりのビール店を経営し自由な日々を過ごしていた。気心知れた関係だった2人の間には微妙な距離が生まれており、その気まずさを隠すようにウィルはシルビアを店で主催するパーティに誘う。
2人は、酒を飲みバーではしゃぎ、街を電動キックボードで走り回る。時間を巻き戻したいだけかと思えば、大きな仕事に尻込みするウィルを励ましたり、シルヴィアにセクハラをした相手に激怒したり、互いに献身的な姿勢を見せる。その関係性が周囲に懐疑的な態度を取らせ、混乱を招く。ウィルはシルヴィアの夫に「友人」ではなく「妻の彼氏」と疑われていたのだ。
第6話のエンディング曲で流れる、アメリカのバンド「ファン」の「We are young」。「今夜、僕たちは若い/世界を若い炎で燃やそう/そして僕たちは太陽よりも輝けるはずだ」という歌詞は、年甲斐もなく無理している2人をやゆしているのだろうか。
ちなみに私は「成立する」派。本作を観て随分と連絡していない男友達のことを思い出した。大昔落ち込んだ(フラれた)時は朝まで麻雀を付き合ってくれたけど、もう徹夜は難しいなあ。
DJ CHIGON 富山市在住。ロックDJパーティ「LOVEBUZZ」のDJ。インディーロックを中心にプレイしている。