富山の皆様、あらためて初めまして。このたび、ご縁がありましてコラムを書かせてもらえることになりました松井康真と申します。生まれは南砺市の井波地域です。高岡高校から東京工業大学に進み、理系単科大学出身としては異例のアナウンサーとしてテレビ朝日に入社したのは1986年です。
よりによって故郷富山に系列局が無いキー局に入社してしまったのですが、2年目からはミュージックステーションでタモリさんと共演し、ニュースステーションではスポーツキャスターとして久米宏さんと共演しました。その後は東日本大震災を契機に大学での知識を生かして原発事故担当の報道記者に転身し、最後は気象災害担当記者としてテレビ朝日での37年間の職務を終えました。
この4月からフリーになり、故郷南砺市に個人事務所を登記し、富山と東京の2拠点生活が始まっています。
テーマはプラモデル
今回、私が執筆するテーマは意外に思われるかもしれませんが「プラモデル」です。プラモデルという言葉を聞いて、今あなたはどう思われますか? 「子供の頃、よく作ったよ」「オモチャだよね?まだやってるの?」というのが残念ながら大半の方の認識です。
この歳になって「趣味は何ですか?」と聞かれて、例えば「油絵をやってます」と答えたら「ステキな趣味をお持ちですね~」と返ってきます。ところが「プラモデルを作ってます」と答えたら、まず間違いなく気まずい雰囲気になります(笑)。この誤解を解きたいのです。私はプロモデラーではありませんが、拙作の画像をご覧ください。

使う媒体が油絵具かプラスチック素材かの違いだけで、皆さんに認めてもらいたい楽しい趣味なのです。私はこの趣味を続けて50年以上になり、なぜか世界一の模型メーカーであるタミヤの公式ガイドブックを執筆し、俳優の石坂浩二さんが結成した模型サークル「ろうがんず」の発起人の一人ともなりました。その経緯も順に紹介していきます。

小学生の絶版コレクター誕生
現在60歳の私ですが、私たちの世代の男子小学生の頃はプラモデルが必須の楽しみでした。放課後になると自転車で友達の家を渡り歩き、タミヤ(模型メーカー)のプラモデルを作って遊んだものです。
その頃、4歳年上の従兄にタミヤ総合カタログというものを見せてもらった時に、巻末の製品リストに「本年度で生産中止の予定」という記述があった製品を見て「作らないで大切に取っておこう」と思ったのが、コレクター人生の始まりでした。
それからは小学生が自転車に乗って庄川町、福野町、福光町と足を延ばして絶版キットを見つけては作らずに大切に保管していました。今から思えば嫌な子供ですよね。

ただし小学生の行動範囲と財力はたかが知れています。中学、高校、大学時代と模型の情報と資料収集は欠かしませんでしたが、本格的にコレクションを始めたのは社会人になってからです。
もちろん今の様にインタ―ネットも無ければネットオークションもありません。国内出張があれば地元の模型店巡りは当たり前、雑誌の売ります・買います欄での手紙のやりとりも数知れず行いました。

理系の細かな性格のため、購入したキットはルーズリーフで自作リストを作ってまとめ、発売当時の雑誌広告や模型専門新聞などからそれぞれのキットの発売年月や微妙なバージョン違いなどを特定してメーカーにも資料が残っていない完全コレクションとリストを作って行ったのです。
■故郷南砺市で個人展示会
あっという間に字数が尽きました。次回からは再び小学生時代に戻って、初めて買ってもらったプラモデル等から読者の皆さんとの「懐かしい!それ作った!」という思いを共有しながら進めます。このタイミングですが8月12日(土)から1か月以上にわたって南砺市の井波彫刻総合会館で「プラモデル 松井康真の世界」という展示会を行うことになりました。懐かしいプラモデルもたくさん並べます。気になる方は是非足をお運びください。
※連載は、2023年9月8日(金)スタート、以後、毎月第2金曜に掲載します。