J3のカターレ富山は昇格圏内の2位でリーグ戦を折り返した。7月29日から各クラブとの2巡目の対戦が始まり、3位の鹿児島とアウェーでぶつかる。今回は首位に立った愛媛を長年取材するフリーライターの松本隆志さんとの対談形式でカターレと愛媛との首位攻防戦の模様や両クラブの開幕からの戦いぶり、混戦が続いたリーグ前半戦について振り返る。(赤壁逸朗)
赤壁 7月9日に松山市で行われた第17節は当時首位のカターレと2位の愛媛がぶつかる前半戦の天王山でした。カターレが前半に2点先取しましたが、愛媛が後半に4点を奪って4-3で逆転勝ち。現地で取材した松本さんは愛媛の勝因をどうみていますか。

松本 今季の愛媛は攻守ともに一定水準のクオリティーを発揮できるチームなのですが、それを最初から出していけないところがある。カターレ戦でも「点を取り返すしかない」という展開になって火が付いた感じはありました。チーム得点王のFW松田力選手を出場停止で欠いていましたが、代わって出場したFW深堀隼平選手がクラブ史上初のハットトリックを達成。裏に抜けてチャンスメークできるラインブレーカーの彼がいたことで攻撃がスピーディーでした。松田選手の欠場を受けて他の選手たちのモチベーションが高く、逆転してからも4点目を取りにいこうとする積極性があったのも良かったのだと思います。
シュート決定率はリーグトップ
赤壁 カターレは2点リードする絶好の展開を生かせず首位を明け渡す形になりました。今季の序盤にも、リードした後半の立ち上がりに失点するケースが何度かありました。克服したはずでしたが、大事な試合で再発してしまい、小田切道治監督も「ハーフタイムにその点の注意を最優先で伝えるべきだった」と悔やんでいました。一方で終了直前に1点を返し、今季のテーマの一つでもある「どんな状況でもあきらめない」という姿勢を示せたのは良かったと思います。今季はチーム得点王のFW高橋駿太選手を筆頭にシュート決定率が非常に高く、好成績の要因となっています。シュート数はリーグ18位タイの145本ですが、得点数は2位の32、決定率は1位の22・1%。次いで高い長野の17・3%を大きく上回っています。これによって19試合中14試合で先取点を奪えている。リードした状態でのゲーム運びは後半戦もポイントになるかもしれません。
松本 愛媛はまたあの男に