「スゴイものが売られてました!!」
連載「やちやちが行く!!」を担当するNaoさんから、ある日、こんなチャットをもらいました。文章は興奮気味に続きます。

「富山市内の中古車屋さんに、トラックなどと一緒に並んで消防車が売られてたんですよ。
普通の人が所有してもいいの??
その前に誰が買うの??
疑問が、クエスチョンマークが、たくさん出てきました」
とのこと。

その真相、コノコト編集室が調べましょう!

トラックと並んで

消防車があったのは、富山市開にある大洋自動車の中古車展示場です。確かに、トラックと一緒に真っ赤な車が並んでいます。想像よりずっと大きく、立派なはしごが載っています。「〇〇消防」という文字もナンバープレートもありませんが、古びた感じはなく、今でも出動できそうです。   

家族の知らぬ間に

早速、会社を訪ねたところ「あれは売り物じゃなく、おやじが、自分の傘寿(80歳)の祝いに買ってきたもの。30メートルのはしご車です」とのこと。社長が詳しく話を聞かせてくれました。   “おやじ”とは、社長の父親で前社長の土肥洋之さん。昨年9月、病気のため81歳で亡くなりました。立山町議を5期20年務め、人口減少や高齢化など中山間地域の課題に熱く取り組んだ人物としても知られています。

学生時代に自作のカスタムカーが専門雑誌で紹介されるほどの車好きで、大学卒業後には自動車メーカーに就職。1972年に独立し、トラックの販売、修理などを手掛ける大洋自動車を設立しました。

仕入れる車にもこだわりがあり「変わった車があれば買ってきた。売れなくても、並んでいるのがいいんでしょうね。トミカと一緒」と笑います。

15メートルが30メートルに

30メートルのはしご車を購入するまでは、15メートルのはしご車を展示場に並べていました。それがある日、大きくなっていることに気付き、“おやじ”に聞くと「俺の80歳の祝いよ! 飾っとけ」と。

家族も知らない間に、神戸のオークション会場で15メートルのはしご車を売り、30メートルを購入。はしご車は専門業者の運転で、ここまで自走してきたそうです。   30メートルというと、だいたいビル10階の高さに相当します。ビルの少ない地域ではなかなか見ることのない車のため、知り合いが「見せてほしい」とやって来たり、通りかかった外国人から「売ってほしい」と言われたり、「木を伐採するのに買いたい」と言われたことも。

しかし社長は「当面は売るつもりはありません。形見として置いておきます」と話しています。

ちなみにもし購入したら…。北陸信越運輸局富山運輸支局に聞くと「消防車は緊急車両のため、一般の人はナンバー登録はできず、公道を走らせることはできません。コレクションとして所有したり、展示したりするだけならOKです」とのことでした。

※『消防車』として登録を受けようとする場合は、消防機関又はその他の者が消防のために使用する自動車であることが確認できる書面(公安委員会から緊急自動車として指定されている書面等)が必要となります。