ご夫婦と4歳の娘さん、愛犬2匹が仲むつまじく暮らすA邸は、丘陵地という立地条件を生かし、のどかな風景や風、光を生活に取り込むよう設計された。自然素材も随所に用いられ、時間がゆっくり流れる居心地の良い住まいとなっている。
富山市の丘陵地に建つA邸。まきストーブの煙突がちょこんと屋根から顔を出す、ライトグレーの外観がかわいらしい。

「自然に囲まれて、周りを気にせずのびのびと暮らしたい」というご夫婦の思いから、奥さまの実家の畑があったこの場所にマイホームを構えた。
室内は、優しい質感の和紙の壁や県産スギなどの無垢材を用いたナチュラルな空間に仕上がっており、自然素材ならではのすがすがしい空気が流れる。美しい自然の風景や心地良い風、日光を生活に取り込むため、窓の位置や軒の出などがしっかり計算された。

リビング南側の大きな窓の向こうに訪れるウサギやキツネなどの野生動物に目を細めたり、木々の新緑や紅葉に四季の移ろいを感じたりと、家族は豊かな自然を堪能しているようだ。座面の低いソファはご主人の特等席。「ここに座ると、東側の窓の外にある神社の桜や立山も見え、気に入っています」とほほ笑む。

ワンフロアで動線に無駄のない生活をしたいと平屋を選んだ。延床面積が約28坪とコンパクトな造りだが、段差で空間分けをして間仕切りを少なくしたり、ウッドデッキを設けて家の中と外を緩やかにつないだりしたことで、開放感が生まれた。
リビングの横には、ご夫婦憧れのまきストーブを備えた土間を設けた。ご夫婦共通の趣味のロードバイクがディスプレーされ、お二人が集めた漫画を収納する書庫も隣接する。奥さまは土間にあるロッキングチェアに揺られながら、読書や編み物をする時間がお気に入り。


「好きなものに囲まれて、まきストーブのぬくもりと窓からの日差しが心地良く、幸せな気分になります」。自然に包まれゆったりと時が流れる空間で、一家は家族団らんの時間も趣味の時間も大切にしながら、心豊かな日々を過ごしている。

