全国の皆さんからのふるさと納税を活用して、飛騨市宮川町にある先人の知恵の結晶「茅葺き民家」の保存、活用の取組みを進めています。
飛騨みやがわ考古民俗館に佇む一軒の茅葺き民家「旧中村家」。この民家は、150年もの間、風雪に耐えながら地域の暮らしと文化を支えてきました。しかし、土台が傾き、屋根がいたむなどの老朽化が著しく、修復の時期を迎えていました。
岐阜県飛騨市(市長:都竹淳也)では令和2年度から飛騨市ふるさと納税の使途メニューの一つとして寄附を募り、令和6年度までに6,000万円余りのご寄附をいただきました。
ふるさと納税を活用して、令和6~7年度にかけて修復事業を実施。基礎を修復して建物を水平に戻すことができました。これを記念し、学芸員による解説付きの「第一期工事完成見学会」を開催します。

飛騨市宮川町の山間にある飛騨みやがわ考古民俗館に佇む一軒の茅葺き民家「旧中村家」
特別公開見学会
■日時
11月29日(土)10:00~11:00
※飛騨みやがわ考古民俗館内は、9:00~17:00までお入りいただけます
■場所
飛騨みやがわ考古民俗館(岐阜県飛騨市宮川町塩屋104)
■参加費、入館料
無料
■申込
不要
■解説者
飛騨市教育委員会文化振興課 学芸員 三好清超

なぜ今「茅葺き民家」を守るのか
かつて飛騨一帯で多く見られた茅葺き合掌造り民家。「旧中村家」は今や飛騨市宮川町に唯一残るものです。明治初期に建てられたもので、当時の典型的な農家建築と位置付けられ、市の文化財(有形文化財-建造物)に指定されています。
この茅葺き民家「旧中村家」は飛騨みやがわ考古民俗館にあります。平成2年に当時の宮川村(今の飛騨市)に寄贈され、平成3年に宮川町洞から移築。現在は野外展示されています。この茅葺き民家を含む飛騨みやがわ考古民俗館は、豊富な民俗資料と考古資料から飛騨の人々がいかに山間部で生きてきたかを学ぶことができる施設です。
しかし、現状はさまざまな課題を抱えています。
・傷みが激しく、茅葺き屋根が崩れかけている
・地域の博物館「飛騨みやがわ考古民俗館」は年間30日しか開館できていない
・地域の人口減少に伴い、「伝える人がいなくなる」
「このままでは飛騨の文化が失われてしまう」
だからこそ、私たちは「旧中村家」を文化財としてただ修復するだけでなく、人々が集い、つながる場所として再生させるプロジェクトを立ち上げました。

飛騨みやがわ考古民俗館(住所:飛騨市宮川町塩屋104)
ただの「修復」で終わらない、茅葺き民家を、未来に継承し交流拠点にしたい。
この想いを支えるのは、ファンの方々の声です。「囲炉裏で鮎を焼く体験ができたら」「修復の過程をみんなで学びたい」「3Dスキャンができたら面白そう!」など多くの方がこの民家の保全・活動を望んでいます。
このプロジェクトは、ただ屋根を修復するだけではありません。150年の歴史が息づく茅葺き民家を、市内外の方が交流する拠点とし、「過去」から継承されてきた文化財を「今」を生きる私たちが「未来」へと繋ぎ、交流の場としてこの民家を守るために取り組んでいます。


曳家にて建ったまま建物を移動し、傾いた基礎を修復。再び元の位置に
今回行ったのは、「曳家(ひきや)」。建物をそのまま横移動させる工法で、今ではなかなか見ることがなく、大変珍しいものです。
2024(令和6)年9月、およそ70トンある建物をアリが歩く速度より遅いスピードで慎重に40mほど移動させ、その間に傾いた基礎を修復しました。
同年11月には再び元の位置に戻し、建物は水平を取り戻しました。柱が真っ直ぐになり、ふすまや障子などの建具もスムーズに開け閉めできるようになりました。また、腐食した床材や柱は、取り換えたり補強を行ったりしました。今夏、第一期工事が無事に完了。建物は息を吹き返し、子どもたちが集まるイベントを開催することができました。


曳家前

曳家後


「曳家」の様子を動画でみる
公立小松大学・産業技術総合研究所の協力で「旧中村家の仮想空間」をご覧いただけます。
https://my.matterport.com/show/?m=on5uL9xmzhv
仮想空間を見る
修復への想いと活用への展望
旧中村家は、飛騨宮川周辺の典型的な農家建築という価値があり、宮川町唯一の茅葺き民家として残されてきました。この貴重な文化財を後世に伝えるため、プロジェクトを進めていきます。
2026年度:準備開始
2027年度:茅の購入、葺き替えに向け屋根の調査・設計
2028年度:葺き替えの実施
2029年度以降:文化体験・交流の場として運営
修復後は民具使用や石棒作り体験など、飛騨文化を学べるワークショップなどを計画しています
全国の皆さんからのふるさと納税は以下に活用します。
・茅葺き屋根の葺き替え費用
・体験型コンテンツの整備費(石棒作り体験や囲炉裏体験など)
・文化財保存・管理費

プロジェクト特設ページ
担当者からのメッセージ

三好清超学芸員
宮川水系の合掌造り民家として、市の文化財に指定されている「旧中村家」。現在修復を進めており、将来は地元と市外の方々が民具使用や石棒づくり体験などの活動を通じて、交流する場になることを目指しています。
「宮川村は父の故郷です。このように形として残るだけでなく引き継がれていくことは心から嬉しいことです」
「今はまだふるさと納税でしか応援できませんが、いつか必ず伺いたいです」
といった多くのご支援と胸が熱くなる応援コメント心よりお礼申し上げます。
当日はぜひ現地にお越しいただけると嬉しいです!
問い合わせ
飛騨市教育委員会 文化振興課電話 0577-73-7496
岐阜県飛騨市
飛騨市は、人口約2,1500人の小さな市で、周囲を北アルプスなどの山々に囲まれ、総面積の約94%を森林が占めるなど豊かな自然に恵まれたまちです。また、豊富な自然資源のほか、ユネスコ無形文化遺産である古川祭・起し太鼓、ノーベル物理学賞の受賞に寄与した「スーパーカミオカンデ」を始めとする宇宙物理学研究施設、大ヒットアニメ映画「君の名は。」のモデル地となった田舎町の風景など、多彩で個性豊かな地域資源の宝庫です。
飛騨市公式サイト https://www.city.hida.gifu.jp/
飛騨市公式文化財サイト https://hida-bunka.jp/
PRTIMES飛騨市ページ https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/120394
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