熱戦が続く大相撲秋場所。関取に復帰した西十両13枚目・朝乃山(富山市出身、高砂部屋)が今場所から着用している締め込みの色をご存知だろうか。限りなく黒に近い赤紫で、「至極色(しごくいろ)」というちょっと耳慣れない名前の色だ。色に込められた意味合いについて色彩の専門家に聞くと、非常に歴史があり、かなり貴重であるだけでなく、今の朝乃山にこれ以上ふさわしい締め込みはないとすら思える「究極の色」であることが分かった。

 これが 
 至極色 

 「至極」という言葉は、日常会話では「至極もっともな話だ」「残念至極」という具合に、「極めて」「まったく」といった意味合いで使われることが多い。また「この上ない」「究極の」という意味もある。では「至極色」とはどのような色なのか。なぜこのような名前が付いたのか。富山市茶屋町に事務所を構えるカラーコーディネーター、蓑輪千春さん(47)に聞くと、「その起源は古代、推古天皇の頃までさかのぼります」。いきなり壮大な話になってきた。

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