【ベネチア共同】イタリアで開催中の第82回ベネチア国際映画祭で、コンペティション部門に選ばれたヨルゴス・ランティモス監督の新作「BUGONIA」が上映された。記者会見で主演のエマ・ストーンは「広い宇宙に私たちしかいないと考えるのは自己中心的。私は宇宙人がいると信じる」と笑顔で話し、会場を沸かせた。
陰謀論を信じる男が大企業のCEOを宇宙人だと思って誘拐するホラー調のSFコメディー。ジェシー・プレモンスが陰謀論者を、ストーンがCEOを演じた。
「今、人類が直面していることを表現した。戦争や気候変動などの問題に、私たちの感覚はどれほどまひしてしまったのだろう」と問うランティモス監督。第80回の最高賞・金獅子賞を獲得した「哀れなるものたち」などで監督とタッグを組んできたストーンは「監督のおかげで夢のような仕事になった。今を反映する題材が生き生きと描かれている」と述べた。
「シビル・ウォー アメリカ最後の日」での狂信的な差別主義者の演技が強烈な印象を残したプレモンス。今作でもカルトめいた暴力的な男を演じたが「彼らを『非人間的』と片付けてしまうのは危険。俳優という仕事は、理解しづらい人々や物事を知るための手段だ」と語った。