「BOOKコンシェルジュ」では、あなたのお悩みや気分に合わせて、おすすめの本を選びます。コンシェルジュを務めるのは、富山県立図書館司書の竹内洋介さんです。

今月のお悩み(富山市・40代男性)
これから月がキレイになる季節。宇宙の話が読みたい
「ありす、宇宙(どこ)までも 01」
売野機子
小学館
770円(税込)

 天真爛漫な主人公が魅力

私が今更推すまでもないかもしれません、マンガ大賞2025受賞作。宇宙飛行士船長を目指すありすと、彼女を支える天才少年犬星を軸に繰り広げられる物語。

宇宙好きなら思わず目に留まる小ネタや、登場人物たちの過去の影などもふんだんに盛り込みながら、それでいて一気に読めるのは、作品全体が主人公ありすの天真爛漫な明るさに裏打ちされ、作中の言葉を借りるなら「この人の船に乗ってみたい」と思えるような彼女の魅力によるものでしょう。4巻目が出たばかり、追いかけるなら今!


 

「月まで三キロ」
伊与原新
新潮社(新潮文庫)
781円

前向きになれる小説集

宇宙のお話となれば、富山大学で教鞭をとられた宇宙の研究者であり、前回の直木賞受賞者でもある伊与原先生の作品を外すわけにはいきますまい。

大学の先生が書いた小説? 小難しいんじゃないの? なんて先入観はどこへやら。科学的描写のわかりやすさもさることながら、登場人物の、そして読み手の、小さな心のわだかまりや負の感情を広大な宇宙が受け止めてくれるかのような、心が前向きになれるS(すこし)F(不思議な)小説集です。表題作をはじめ6作収載。


コンシェルジュ 竹内洋介さん

富山県立図書館係長(司書)。3児の父。動画全盛の今こそ「読書」の魅力を今一度広めたい!との野望あり。