あなたのお悩みや気分に合わせて、おすすめの本を選ぶ新企画「BOOKコンシェルジュ」が始まりました。コンシェルジュを務めるのは、富山県立図書館司書の竹内洋介さんです。
今月のお悩み(富山市・40代女性)
「暑いのが苦手。ぶるっと震えるようなホラーの世界に浸りたい」
「暑いのが苦手。ぶるっと震えるようなホラーの世界に浸りたい」

「くじ」
シャーリィ・ジャクスン
早川書房(ハヤカワミステリ文庫)
1,100円(税込)
シャーリィ・ジャクスン
早川書房(ハヤカワミステリ文庫)
1,100円(税込)
人間の悪意から生まれるホラー
断言しましょう、1回読んだら頭から読み返したくなります。表題作「くじ」は、ものの10分ぐらいで読めてしまう短い作品ですが、「恐怖の瞬間風速」でこれを超える作品にまだ出会えないでいます。
舞台は開拓時代のアメリカのとある農村、年に1度、村人が一堂に会した場で行われるくじびきの内容は・・・?冒頭から周到に張り巡らせてある伏線も見事。オカルトではない、人間の悪意から生まれるホラーをお求めの方にお薦めの1冊。

「いるのいないの」
京極夏彦作・町田尚子絵
岩崎書店
1,650円
京極夏彦作・町田尚子絵
岩崎書店
1,650円
ラストシーン「なにか」を見てしまう
たかが絵本と侮るなかれ。大人でも震えあがるほどの本気のホラー作品を揃えた岩崎書店の「怪談えほん」ですが、なかでも田舎の一軒家を舞台としたこの「いるのいないの」のラストシーンにトラウマを抱えている人は多いはず。
「みなければ いないのと おんなじだよ」と言われているのに、やっぱり主人公の少年は「なにか」を見てしまう。表情の見えないおばあちゃん、昼でも暗い日本家屋、そして猫。和風ホラーの入門書にして傑作です。

コンシェルジュ 竹内洋介さん
富山県立図書館係長(司書)。3児の父。動画全盛の今こそ「読書」の魅力を今一度広めたい!との野望あり。
