戦争を経験した元兵士の中には戦後、死者の慰霊などを目的とした「戦友会」をつくり、定期的に集まっていた人たちがいた。ある戦友会に世話役として関わり、そこに日本の戦争責任を否定するような主張を掲げる若い世代が参加した様子を目撃したのが、歴史研究家の遠藤美幸さんだ。

 元兵士との偶然の出会いがきっかけで戦争について調べ始め、日中戦争などに関する著書もある遠藤さん。元兵士らと長年向き合ってきた経験から生じた思いや、記憶を受け継ぐ意義について語ってもらった。(聞き手・共同通信=福島聡)

 ▽託された資料、現場に足運び

 日中戦争中に中国雲南省西部の拉孟(らもう)であった両軍の戦闘について調べ、現地も訪ねて著書「『戦場体験』を受け継ぐということ」にまとめました。約40年前、航空会社の客室乗務員をしていた時、たまたま知り合った男性客がこの戦闘に関わっていて、彼から大量の資料が送られてきたのです。「後世に伝えてほしい」とのことでした。

 日本の部隊約1300人は大軍に包囲されたが、撤退を許されなかったことを知った。部隊はほぼ全滅しました。

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