富山県の砺波市中心部で6月に行われる「となみ夜高まつり」で、行燈(あんどん)が激しくぶつかり合う「突き合わせ」が、従来の2カ所から3カ所に増やして開催される。見物客を分散して安全対策を強化すると共に、より多くの人に見てもらえるよう魅力アップを図る。ことし発足した「裁許会」が提案して実現し、裁許長の鍋田秀実さん(43)は「安全第一に、次世代に残していける祭りにしていきたい」と意気込む。
となみ夜高まつりは、砺波地方各地で行われる夜高祭りの大トリを飾る伝統行事。ことしは6月13日に夜高行燈コンクール、14日に大行燈14基による突き合わせが行われる。
突き合わせはこれまで同市本町の交差点付近で、北陸銀行、富山第一銀行両砺波支店前の2カ所で行ってきた。例年間近で見ようと見物客が通りを埋め、身動きが取れないほどの混雑が発生。2023年は曳(ひ)き子がけがを負った他、24年は見物客がバランスを崩して将棋倒しが起きた。
担い手の声を生かし、安全対策や曳き子の負担軽減につなげようと、裁許会が発足。これまで各町の代表にとどまっていた裁許がまとまり、祭りを運営する砺波夜高振興会と共にルールの立案などを進めている。
裁許会は、2カ所で行燈を10回対戦させる過密スケジュールを緩和するため、3カ所で行うことを提案。地域の理解を得て、交差点西側にある若鶴酒舗前でも行うことになった。
子どもたちにも勇姿を見てもらうため、開始時間は例年より20分早めて午後8時20分~同10時50分までとする。鍋田さんは「3カ所が直線上にあり、突き合わせや行燈の移動、待機する様子が見やすくなるだろう」と語った。堀田隆振興会長(76)は「担い手が運営にも携わることで、より自分たちの祭りであるという意識が高まったと思う。伝統を重んじつつ、時代に合った在り方を考えていけたらいい」と話した。