現在放送中のNHK連続テレビ小説「あんぱん」で、朝日町ゆかりの漫画家、山根青鬼さん(89)=東京=が、ドラマの中で随所に登場する4コマ漫画などを制作している。ドラマは「アンパンマン」を生み出したやなせたかしさんと妻の暢(のぶ)さんをモデルにした物語で、「やなせさんの画風を大切にしながら作るので普段とは違う描き方が新鮮。親しくしてきたやなせさんの作品に関わることができてうれしい」と話す。(保科さくら)

 山根さんは50年ほど前から、やなせさんと親交があった。漫画で食べていくのが今よりも難しい時代を生き抜いてきた仲間として、日本漫画家協会のパーティーなどで一緒になることが多かった。「出会った頃は、まさに今、朝ドラで描かれているように控えめな人だった」と振り返る。

 「アンパンマン」がヒットした後半生は、それまでとは見違えるほど明るくなった。「とにかく楽しいことが好きな人で、派手な服をあえて着るようになった。エンターテインメントを愛した方だった」と言う。

 交流のあった漫画家の中でも、やなせさんと年齢が近いことから、朝ドラ「あんぱん」の漫画指導を依頼された。2013年に94歳で亡くなったやなせさんの遺志を継いで創設された「やなせたかし文化賞」で選定委員も務めており、快く引き受けた。

残り583文字(全文:1294文字)