黒部峡谷鉄道(富山県黒部市黒部峡谷口)は3日、トロッコ電車の営業運転区間を宇奈月-笹平間(7キロ)に延ばした。10日には宇奈月-猫又間(11・8キロ)に延長するため、笹平駅のホームに降りることができるのは7日間のみとなる。始発から多くの観光客が訪れ、峡谷の新緑を楽しんだ。

 トロッコ電車は4月20日に宇奈月-柳橋間(2・1キロ)で今季の営業をスタートした。昨年の能登半島地震による落石で鐘釣橋が損傷したため、今季も宇奈月-猫又間で運行する。

 今月3日以降は、運行をこれまでの7便から11便に拡大する。初日は訪日外国人観光客を中心に大勢が訪れ、便によっては満席になるなど盛況となった。木々が葉を茂らせ、緑のグラデーションが美しい山肌を縫うようにトロッコ電車が進み、大勢の観光客が渓谷美を楽しんだ。

 笹平駅は本来、工事関係者専用であるため、猫又延長後は同駅のホームで降りることはできない。黒部峡谷鉄道は「貴重な体験を楽しんでほしい」としている。

猫の「名誉助役」に応募続々 バッジと任命書人気

 宇奈月-猫又間の折り返し運行にちなみ、黒部峡谷鉄道が実施している猫又駅の「名誉助役」募集企画が人気を集めている。乗客の愛猫をプリントした缶バッジと任命書をプレゼントしており、3日までに応募が51件あった。

 企画は昨年から続け、今年は任命書に猫又駅のスタンプを押す欄を新たに設けた。宇奈月駅2階には任命書と缶バッジが掲示され、観光客が「かわいい」と笑顔で見入っていた。

 同社営業企画・広報グループの前沢光良リーダーは「県民が気軽に足を運ぶきっかけになればうれしい」と期待する。募集は6月22日まで。