高岡警察署(富山県高岡市あわら町)の敷地内にある「高岡警察食堂」が28日で閉店する。署員以外も利用でき、人気のカツ丼が630円、定食は580円など低価格でボリュームのあるメニューで親しまれてきたが、経営者が引退を決め、後継の運営業者も見つからなかった。県警察協会(代表理事・高木正人県警本部長)は24日、1991年から従業員、2010年から経営者として34年にわたり署員らの胃袋を満たし続けてきた海津恵理子さん(64)=高岡市戸出狼=に感謝状を贈った。

 食堂は高岡署の出入り口の横に立つ別棟の1階にあり、建設された昭和40年代に営業を始めた。かつては海津さんの母方の叔母が営み、従業員として手伝うようになった。

 営業は平日の午前10時~午後3時で、近所の市民らにも常連客がいるという。食材が高騰する中でも月見うどん360円、ラーメン440円といった低価格を維持し、鶏の唐揚げやきんぴらごぼう、コロッケといった総菜も充実している。

 海津さんは「昔はたくさん食べる人がいて、ご飯を大盛りにしてあげたりしたのが印象深い」と振り返る。

 25年度に飲食店営業の許可更新を迎えるのを前に、家族の世話をしなければならない事情や食材費の高止まりも総合的に考え、24年に閉店を決断した。

 感謝状伝達式は同署であり、大勢の署員らが見守る中、古川秀治署長が海津さんに手渡した。拍手で見送られた後、食堂でいつものように調理作業に取りかかった海津さんは「一生懸命にやってきただけ。いろいろな人と関わることができ、感謝しかない」と話した。