富山県の高岡市民病院は2025年度、収益的収支で14億8995万円の赤字を見込んでいる。人件費アップや物価高など複数の要因が重なるためで、赤字幅は24年度の収支見通しから10億円以上悪化する格好。市は経営支援として25年度に一般会計から14億9410万円を繰り出すほか、10億円を貸し付ける。経営改善は待ったなしの状況で、病院は緊急対策会議を設けて経営健全化策を協議する。

 市民病院の経営は22年度まで6年連続の黒字だったものの、国のコロナ関連補助金がカットされるなどした影響で、23年度に5億4886万円の純損失を計上。24年度も4億5778万円の赤字が見込まれる。

 これを受け、市議会3月定例会では14日の一般質問や18日の民生病院委員会で、市民病院の経営状況や、収支改善に向けた方策をただす質問が相次いだ。

 柴田文夫病院事務局長は赤字の要因として、人口減や一部診療科で常勤医が不在となったことによる患者数の減少、人事院勧告を受けた人件費上昇、電気料金などエネルギー関連経費の高騰などを挙げた。

 病院はこれまで、医療提供体制を整え経営改善を図ろうと、地域包括ケア病棟への転換やアイセンターの設置、精神病棟の個室増設などを進めてきた。25年度はさらに、未収金縮減に向けた連帯保証人代行サービスや、人間ドックのウェブ予約を導入する。

 緊急対策会議では、より多くの患者に市民病院を選んでもらう方策を話し合うほか、業務効率化に向けて病棟の規模が適切かなどを協議する。柴田事務局長は「さまざまな方策を検討し、赤字体質の改善に努めていく」としている。