富山市桜木町の大規模再開発事業が本格的に動き出すことになった。ホテルやマンション、商業施設など複数の棟を整備する計画で、2028年度の着工、32年度の完成を目指す。関係者によると、ホテルの運営先として星野リゾート(長野県軽井沢町)などが候補に挙がっている。事業は資材価格高騰などの影響で進展していなかったが、地権者らが再開発を進めることで合意。中心市街地に新たなにぎわいを生み出せるか注目が集まる。 

 富山市が17日の市議会建設委員会で明らかにした。

 再開発エリアは城址大通りと松川に面した区画。21年3月に営業終了した富山第一ホテルやアイザック城址公園前ビル、佐藤工業北陸支店などがある。

 地権者による組合や市によると、敷地面積は約8200平方メートルで、マンション(約240戸)やホテル(約240室)、商業施設、オフィス、駐車場を複数の棟で整備する予定。エリアの中央を東西に横断する市道は解消し、東側と北側の市道を拡幅する。

 複数の関係者によると、ホテルの運営先に星野リゾートが候補の一つに挙がっているという。

 再開発を巡っては、16年2月に地権者による勉強会が発足し、19年8月に準備組合を設立。当初はアリーナを核とした複合施設を計画していたが、21年3月に富山第一ホテルが新型コロナウイルス感染拡大の打撃を受けて営業終了。資材価格高騰も影響し計画は中断していた。24年11月に再び事業を進めることで地権者が合意。市は支援に向け25年度の都市計画決定を目指し、組合は26年度中に事業計画を策定する。

 地権者の一人、アイザックの石崎由則会長兼CEOは「ようやく再開発が進む。実現に向けた協力を惜しまない」と述べ、藤井裕久市長は「城址公園や公共施設に面したエリアにふさわしいにぎわいが生まれる再開発になってほしい」と期待した。