能登半島地震からの復興に向け、富山県氷見市で2027年に1千人で「歓喜の歌」を歌う第九演奏会を開く計画が進んでいる。国内外から参加者を募る予定で、4月にも実行委員会が発足する。千人規模の第九は県内で初めてという。

 千人の第九は、氷見市の氷見第九合唱団の総監督でテノール歌手の澤武紀行さん(射水市)が発案した。団員約100人が所属する同合唱団は、年2回の演奏会で第九を披露するほか、地震後は地元や石川県能登地区で被災者支援のコンサートを開いている。

 以前から「世界中から合唱愛好者や第九を歌いたい人を氷見に呼ぼう」と構想していた澤武さんは地震を経て、第九で復興の後押しをしたいとの思いも強くした。団員らも賛同し、今年に入って動きが加速した。

 開催日時は未定だが、会場は氷見市ふれあいスポーツセンターを想定する。市制75周年の冠も付け、市も関わるほか、市内の各種団体も協力するオール氷見の取り組みを目指している。

 澤武さんは「参加者が市内で宿泊することで大きな経済効果にもなる」と期待する。実行委立ち上げ準備を進めている同合唱団長の指崎泰利さん(67)は「第九合唱を通じて被災地支援をしたい人はたくさんいる。協力の輪を広げるいい機会になるはず」と言う。復興だけにとどまらず「ハンドボールのように第九を核としたまちづくりにつなげたい」と考えている。