富山県高岡市で開かれる伏木曳山(ひきやま)祭の山車(やま)を伝承している中町と十七軒町は23日、同市伏木2丁目の山口鉄工所で、車輪の外側に鉄輪をはめ込む「焼きばめ」を行った。祭りの担い手や同社員約60人が参加し、今年の祭りで奉曳(ほうび)き(巡行)を安全にできるよう丁寧に作業を進めた。

 焼きばめは、約800度の高温で熱して膨張させた鉄輪を木製の車輪(直径約1・5メートル)にはめ込み、一気に冷却して固定させる。

 中町は車輪の「扇」と呼ばれる部品の新調に合わせて、十七軒町は2023年に新調した車輪の修理のため、それぞれ焼きばめをした。一つの車輪に鉄輪を二つずつ取り付けるため、計16の鉄輪を用意した。担い手らは円形の炉で鉄輪を熱し、隣の水槽に移して冷やした。

 中町が焼きばめを行うのは約10年ぶり。中町の曳山に携わる奥原徹さん(46)は「安心して山車を引くことができる。今年もいい祭りにしたい」と話した。

 十七軒町曳山保存会の針山健史会長は「皆さんの協力のおかげで安全な巡行を実現できる」と語った。昨年は規模を縮小して祭りを実施しており、今年の開催方法については「総々代や実行委員会が中心となって協議している。住民に元気と勇気を与えられる祭りにしたい」と述べた。

 祭りは市無形民俗文化財で、毎年5月に伏木地区で開かれる。