厳冬の黒部川上流に滞在し、ダムの保守管理や工事に当たる人のための越冬物資の荷上げ作業が10日、富山県黒部市の黒部峡谷鉄道宇奈月駅で行われた。今年は能登半島地震の影響で同鉄道が途中の猫又駅までの運行となったため、物資も同駅から下流にある合宿所で使う食料や日用品を運んだ。

 冬期間、関西電力の社員や工事作業員らは黒部川上流の寮や合宿所に交代で滞在する。毎年トロッコ電車が冬季運休に入る前から物資を運んでいる。

 今年はトロッコ電車が通る橋が地震による落石で損傷したため、橋の手前にある猫又駅近くの寮や合宿所の荷物を宇奈月駅から運搬し、同駅から上流分の荷物については長野県大町市側からトラックなどで運び入れている。宇奈月側からは計3・4トンで、昨年の5分の1程度となる。

 荷上げは11月中旬から行った。この日は最終日で、作業員が早朝から野菜や飲料などの段ボール箱を貨車に積み込んだ。トロッコ電車の営業運転は11月末で終えており、工事用電車で約20キロ上流の猫又駅まで届けた。関電北陸支社の佐藤一二三(ひふみ)さんは「物資を確実に運搬して冬に備えたい」と話した。

 トロッコ電車の運休中は、「逓送(ていそう)さん」と呼ばれる運搬業者が生鮮食料や新聞を徒歩で運ぶ。