2023年に東京大学地震研究所長に就いた古村孝志さん(小矢部市出身)は、高岡高校から北海道大学へ進み、自然科学への興味を深めた。専門は能登半島地震で注目が集まる「地震予知」。高校時代は「電気オタク」だったという古村さんに地震研究に進んだ経緯を聞いた。(和田華奈)

インタビューに答える古村所長=東京大学地震研究所

和田 高岡高校時代はどんな学生でしたか。

古村 「電気オタク」でした。電子回路を作ったり、アマチュア無線で遊んだり。今はインターネットで海外と簡単につながれる時代ですが、当時はそうではなかった。無線で海外と通信できるのがすごく面白くて、刺激的でした。一方で、高岡高校の授業は面白くなかった(笑)理数科に進んだこともあって、化学、物理、生物、地学は全部やらされるんです。その代わり、体育とか書道の時間は削られているんですよ。周りの友人はみんな何も言われなくても勉強していましたが、自分は遊んでばっかりでしたね。

自然豊かな小矢部で育ち

和田 電気の他に夢中になったものはありますか。

古村 新田次郎の小説を全部読んだのが高校生の時でした。新田次郎は小説家でありながら気象学者でもあって、中央気象台に入庁後は富士山観測所に配属されたんです。その時の体験を基に、火山が噴火する様子や、観測所の過酷な状況下での人々の様子をリアルに描き出していて、夢中になりました。「自然を相手にかっこいいな」と憧れましたね。小矢部の豊かな自然に囲まれて育ち、新田次郎の小説に夢中になって、その経験が今につながったのかもしれません。

東大地震研の外観

和田 地震研究の道に進むきっかけとなったのは、大学時代ですか。

古村 はい。高岡高校卒業後は、

残り855文字(全文:1564文字)