「天空の城ラピュタ」など多くのスタジオジブリ作品の背景画を手がけたアニメーション美術監督の山本二三にぞうさんが19日、胃がんのため埼玉県飯能市の自宅で亡くなりました。青空に高く上がる夏の積乱雲など迫力のある筆致で描く雲は、ファンから「二三雲」と呼ばれました。富山県内では、2012年と22年に高岡市美術館で企画展を開催。12年の企画展では、大勢の来館者の前で二三雲と立山連峰を描いてくれました。当時の紙面を再編集して再掲します。(情報はいずれも当時)

本紙の取材で山本さんが描いてくれた二三雲(2012年)

 高岡市美術館で開催中の「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三(にぞう)展」に合わせ、山本二三さん(埼玉)が来県し、トークショーと背景画の実演制作を行った。映画「天空の城ラピュタ」などの背景画を手掛けたアニメ美術の第一人者が、名作の制作秘話から創作への思いまで、ざっくばらんに語った。

 「未来少年コナン」「ルパン三世」「もののけ姫」「時をかける少女」-。山本さんは数々のテレビ、映画の背景画を手掛けてきた。高岡市美術館の展示室には、背景画やスケッチ計161点が並ぶ。

 トークショーでは経歴や具体的な背景画のテクニックなど幅広い話題を繰り広げた。

実演制作した背景画2枚を前に、にこやかに語る山本二三さん(左)=2012年、高岡市美術館

絵の〝湿度〟を自在に変える

 「〝湿気〟を取ってくださいって言われるんですよ」。梅雨時の話ではなく、背景画の話題だ。山本さんは1953年、長崎県の五島列島に生まれた。少年時代に親しんだ土地の風土は背景画にも影響するのか、「じとーっと湿度が高く感じられる絵になっちゃう」と苦笑いする。

 現在は絵の〝湿度〟を自在に表現できる。「高畑勲監督と映画『火垂(ほた)るの墓』に取り組んだ時に研究しました。湿度を増減できるブルーを見つけてね」と振り返った。色のにじみも湿度の表現に影響することを説明。出来上がった絵の湿度を低くするには、エアブラシでにじみを取るという作画テクニックの一端も紹介した。

「天空の城ラピュタ」の背景画(拡大版)に見入る来場者=2012年、高岡市美術館

宮崎監督は「努力できる天才」

 山本さんのトークには、高畑さんのほか、宮崎駿(はやお)さん、細田守さん(上市町出身)ら有名なアニメ映画の監督が次々と登場した。

 高畑さんは「何でも質問する」。「じゃりン子チエ」の取材で大阪を訪れた時に、「木賃宿(きちんやど)」の意味や珍しい地名の読み方を尋ねられ、試された。「知らないと怒られる。おかげでクイズ番組をよく見るようになりました」

 宮崎さんは「努力できる天才」。毎日4時間ほどしか睡眠をとらず、

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