丸みのある美しいラインの丸スパンを連ねた白のガルバリウム鋼板が秋晴れの空に映える。蔵の引き戸を思わせるケヤキ材の木製玄関戸を開けると、おしゃれな格納庫を思わせるブルックリンスタイルの大空間が広がっていた。
約40畳のワンフロアの大空間を玄関、天井高約6mの吹き抜け・階段、リビング・ダイニング・キッチンの三つのスペースで大胆に構成したK邸。冷暖房効率を上げるため、各スペースの間を6枚の引き戸でパーティションできるのが大きな特徴だ。
土間を配した玄関は壁に無機質なリサイクルセメント素材を用いたモダンな造り。天井にはアイアンパイプをめぐらし、照明にはインダストリアルエジソン照明とスプートニクライトのビンテージ風の光を用いた。古き良き時代のデザインを大切にするご主人のこだわりが随所に感じられる。
中央の吹き抜け・階段には、ホワイトの磁器タイルを敷いた。アルミ製のスケルトンの階段もアクセントになっており、存在感を放つ。隅には気品ある本革のソファが置かれており、夫婦水入らずのくつろぎの時間をもたらしてくれる。
キッチンはダークの色合いのセメント再生材に可動式のオープン棚、ステンレスシンクを用いたブルックリンスタイル。ダイニングには、チーク材の壁に音符をモチーフにしたオブジェがあり、どこからか軽やかな調べが聞こえてきそうだ。
セカンドフロアには、ティファニーブルーの壁紙とインナーウインドーが印象的な寝室。メルヘンチックな空間が安眠へと誘ってくれる。高窓を開けると、北から南へ爽やかな風が抜けていく。シングル盤のコレクターであるご主人お気に入りの名曲が大空間を包み込み、優しい時間が流れていく。