小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、1850~1904年)と富山とのつながりを学ぶまち歩きツアーが16日、富山県富山市東岩瀬町の北前船主廻船問屋「旧馬場家住宅」などで開かれた。参加者は「怪談」を世に広めた八雲の世界観に浸った。

 富山市民プラザが、同市の魅力再発見などを目的に開催し、9人が参加した。

 八雲亡き後の23年、関東大震災が発生。当時東京にいた妻セツが、ハーンの蔵書を安全に保管できる場所を探し、同じ頃、富山で創設準備が進んでいた旧制富山高校(富山大の前身)の初代校長、南日恒太郎が名乗りを挙げた。この時、資金を援助したのが馬場はるで、翌24年に2千冊以上の蔵書が同校へと移送され、今も富山大の「ヘルン文庫」で所蔵されている。

 この日は、馬場はる刀自(とじ)研究会の中山悦子代表がガイドを務めた。高志の国文学館(同市舟橋南町)で、来年2月23日まで開催中の八雲の特集コーナーを見学した後、旧馬場家住宅へ移動。中山さんは八雲を支えたセツとはるの功績を紹介し「大変な時代を生き抜いた2人の女性の力は大きい。富山を訪れたことのない八雲の蔵書が富山にあるのもすごいこと」と語った。参加した富山市の60代女性は「説明を聞き、八雲と富山のつながりを実感できた」と満足げだった。

 同ツアーは11月7日にも開かれる。