クマの出没を受け、16日に県内で初めて自治体判断で銃猟を可能とする「緊急銃猟」の許可が出された富山市では、17日も周辺の地域で警戒が続いた。学校は児童生徒が保護者の車で登下校したり、授業の開始時間を遅らせたりするなど対応に追われた。市は臨時の部局長会議を開き、緊急銃猟実施時の住民への周知方法や、関連機関との連絡体制を確認した。

 富山市によると、16日朝に小杉地区の住宅地でクマの目撃が相次ぎ、市長が緊急銃猟を許可した。猟友会員らが捜索したが見つからず、態勢を解除した。

 17日午前7時40分ごろ、近くの蜷川小学校(同市赤田)では、児童たちが保護者の車や集団で登校する姿が見られた。1年生の娘を送った同市小杉の主婦、長谷川成美さん(37)は「クマが近くまで来て警戒している。子どもの安全を一番に考えている」と話した。

 富山南高校(同市布市)は、1限目の開始時刻を1時間遅らせるなどの対応を取った。屋外の部活動は控えるよう呼びかけ、大会が近い部は顧問が付き添い、安全を確保して実施した。自転車で通学する3年生の日吾隼輔さん(17)は「すぐそこに出ていて怖い。安全を確保してもらいたい」と不安を口にした。

 市の会議では、発砲許可が出された際の現場付近の住民や学校などへの連絡経路を確認。今後も防災行政無線や広報車で注意喚起するとした。藤井裕久市長は「週末は行事が多く、職員の出勤体制は手薄になる。休日の情報共有も徹底してほしい」と述べた。