富山県南砺市福野の山田順悌さんは、第二次世界大戦後の過酷なシベリアでの抑留生活を乗り越え、9日に100歳の誕生日を迎えた。「寒さと空腹で朝起きたら亡くなっていた人もいた。よく帰ってこられた」と当時を振り返る。

 福野農学校を卒業後、1943(昭和18)年に南満州鉄道に就職。45年7月に関東軍に入隊したが、ほどなく8月15日の終戦を迎え、シベリアへ送られた。

 収容所を転々としながら、森林伐採や鉄道工事などの過酷な労働に4年間従事。49年に帰国したものの、戦後の混乱期で仕事がなかなか見つからず、生活再建は容易ではなかった。

 苦境の中、53年に旧福野町で本や文具の卸販売を行う「山田文華堂」を開業。長年、地域の文化振興に尽くしてきた。その傍ら、市商工会の「南砺まちゼミ」で講師を務め、抑留体験を語り、戦争の悲惨さを市民らに伝えてきた。

 子ども3人、孫5人、ひ孫8人に恵まれた。14日には家族に囲まれ、お祝いパーティーも催された。山田さんは「生きて帰り、家族に囲まれて100歳を迎えられたことが何よりうれしい」としみじみと語った。