80年前の富山大空襲をくぐり抜けた富山電気ビル(富山市桜橋通り)と県庁本館(同市新総曲輪)の建物を探索するまち歩きツアーが13日に開かれた。二つの建物は同市中心部で戦前から残る数少ない建物で、参加者はその歴史の重みをかみしめた。
ツアーは、富山市民プラザがまちなかの魅力再発見を目的に開催し、5人が参加した。
1936年完成の電気ビルは、焼夷(い)弾の被害を受けたが倒壊は免れ、現在も5階の天井部分に被災の跡が残る。また県庁本館は35年完成。富山大空襲では焼夷弾が直撃したと伝わり、4階大ホールの屋根裏で、補修したとみられる跡が確認できるという。いずれの建物も現在は国の登録有形文化財となっている。
この日は、直接空襲の跡を見ることはできなかったが、電気ビルでは戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の司令官が執務室として使用していた部屋や、進駐軍が残した英語表記の木製看板などを見学した。県庁では知事用の椅子に座ったり、建設当時の姿を残す特別室の視察などを楽しんだ。
参加した富山市の渡辺正章さん(47)は「普段はなかなか見られない場所なので、有意義な時間だった」と満足していた。