シトウレイです、こんにちは! 今回は、今春のパリ・コレクションの会場周辺で見つけたトレンドと時代の流れをご紹介します。

 まず挙げられるのは女性像が変化したぞ、ということ! 流行は時代にふさわしい女性像を表しているとも言えますが、今シーズンは特にその視点がないと理解するのが難しいなと感じました。

 ここ数年、肌の露出がどんどん増えてショーツのファッション化まで到達。派手で過激な風潮に徐々に飽きがきて、今季は正反対の女性像が爆誕! つまり「中身の成熟度」をうかがわせる淑女や、有能なビジネスウーマン的な大人の女性像です。

 ただプラスアルファとして、抜け感か外し要素があります。例えばシャネルのツイードのセットアップだけどおなかがチラ見え、ビジネスウーマン風だけどシャツがしわくちゃ…などなど、「びしっとパーフェクト」をあえて崩しているんです。「完璧は目指すけど全部は無理、でもそれも人間味があってすてきだよね」という、今を生きる女性のステートメントです。

 視点を変えると、今の時代に一番大事な「寛容性」を表現しているとも私は感じています。流行から社会の課題が見えてくる。ファッションは社会を映す鏡、というのはそういうことですね!

 さて成熟した大人の女性像を表現するにあたって、スタイリングや着こなしにも変化が。かつてのようにぱっと見のおしゃれさや派手さを追求するのではなく、一見地味、でもよく見たらセンスやテクニックを感じさせる「玄人感」がある着こなしが増えていました。

 ポイントは(1)レイヤード(重ね着)(2)柄×柄。

 重ね着の代表的なアイテムは、スカーフにストール、ダークホースで注目のカーディガン。首に巻いたり腰に巻いたりアイテムを多めに重ねています。「やりすぎコッテリ感」が出そうでためらうかもしれませんが、こつは色味! アイテムを増やす際は色味は減らす。カーディガンの腰巻きなら「ウエストより肋骨位置」。いつもよりやや上、肋骨の下部あたりで巻くと、バランスがとりやすく、おススメです。

 とにかく今季はチェックやアニマル、ストライプにレオパード…と、いろんな柄が百花繚乱。かつ柄に柄を合わせる上級テクニックが多く見られました。こつは、やはり色味。各柄に含まれる色味に共通色を持たせると、柄×柄の着こなしにまとまりが生まれます。

 着こなしのこつをつかんで、自分の中の「新しい女性像」をつくり上げてもらえたら。それでは、また次回お会いしましょう!(ストリートスタイルフォトグラファー、写真も)

 【シトウ・レイ】 石川県生まれ。早稲田大卒。雑誌で活動し始め、日本を代表するストリートスタイルフォトグラファーに。メディアで幅広く活動する他、ユーチューブで最新のファッション事情をリポートしている。