富山県南砺市井波地域に昨年移住した原本要さん(32)、真実(まみ)さん(33)夫婦が、自宅を改装し、ギャラリー喫茶「週末アートプレイス くらし灯(とう)」を今秋に開く。コーヒーに情熱を注ぐ要さんと、アートに打ち込む真実さん。それぞれの経験と持ち味を生かし、豊かな出会いや交流が生まれる場にしたいと考えている。

 要さんは射水市出身。理学療法士として勤務していたが、過労などが重なりうつ病を発症。数年間の療養を経て、知人の勧めでコーヒーの焙煎を始めた。現在は「かなめ珈琲」としてイベント出店などに取り組んでいる。

 真実さんは広島県出身で、神奈川県の美術大を卒業後に県内の企業に就職した。現在は会社勤めをしつつ、作家と鑑賞者が双方向で関わる「コミュニケーションアート」の制作などを手がけている。

 2人は昨年の結婚を機に移住を検討する中、暮らしと芸術が調和する井波地域の雰囲気に魅力を感じて移り住んだ。闘病や創作活動を通じ、人が心を休め、励まされる時間の大切さを感じてきた。そうした場をつくりたいとの思いから、ギャラリー喫茶を開くことにした。

 ギャラリー喫茶は自宅車庫をDIYで改装して開く。要さんがハンドドリップで淹(い)れるコーヒーを味わいながら、真実さんや県内作家らの作品展示を楽しめる。現在はプレオープン期間で、不定期に作品展示やワークショップを実施している。5、6の両日にもイベントを開く予定だ。

 真実さんは「美術館やギャラリーへ行く前の“入口”のような存在になれたら」と話す。富山へ移住当初、気軽にアートに触れられる場所が少なく、息苦しさを感じた自身の経験からだ。2人は「ふらっと立ち寄ってもらい、そこから何かが生まれる場になればうれしい」と期待している。