江戸時代に立山信仰の拠点「宿坊」の玄関先にあった常夜灯(石灯籠)が復元され、立山博物館(富山県立山町芦峅寺)の関連施設「教算坊」の入り口にお目見えした。同博物館が昨年寄贈を受けて作業を進め、江戸時代の1865(元治2)年に製作されたことなども判明した。担当者は「立山では江戸時代以前の石灯籠があまり残っていない。貴重な資料になる」としている。

 常夜灯は高さ約160センチ、幅と奥行き約60センチで、県内の個人から寄贈された。寄贈者らへの聞き取り調査の結果、明治期までは現在の立山博物館展示館敷地にあった宿坊家「金泉坊」の玄関先にあったことが確認された。

 「能登國珠洲郡」などと刻まれ、寄贈者として「小浦村四郎左衛門」の銘文もあった。金泉坊が江戸時代に能登国珠洲郡に布教拠点「檀那場(だんなば)」を持っていたことも裏付けられたという。

 能登半島地震で倒壊したものの、同博物館が寄贈を受け、復元作業を行った。森山義和学芸課長は「製作した人や時期、使用方法など、情報がとても豊富」と指摘。「博物館資料としても歴史資料としても価値が高い」と述べた。

 常夜灯は、実際に明かりをともし、芦峅寺の宿坊通りの面影を伝える資料として活用しようと、県道に面した教算坊の入口に設置し、自由に見学できる。