富山を含む中部9県と名古屋市でつくる中部圏知事会議は9日、同市内のホテルで開かれ、能登半島地震を踏まえた災害対策、インフラ整備、少子化対策など国に対する16提言をまとめた。富山県が要望した液状化対策への継続的な技術・財政両面の支援、避難所の環境改善などが盛り込まれた。
災害対策推進は富山、石川、岐阜、三重の共同提案で、なりわい再建や雇用維持、インフラ復旧、原子力防災、南海トラフ地震対策など11項目からなる。
新田八朗知事は液状化対策として県内5市が検討する「地下水位低下工法」で生じる維持管理費について「負担に地元住民から不安の声が上がっている」と説明。国庫補助の柔軟な運用のほか、排水設備のメンテナンスや長寿命化などに対する支援を求めた。避難所となる学校体育館の空調整備についても国庫補助の対象拡大、上限額引き上げなどを要望した。
人口減とインフラの老朽化が進んでいることを踏まえ、新田知事は持続可能な行政サービスの在り方を議論していると紹介。施設の最適な配置に向けた財政支援の必要性を指摘した。教育に関連してフリースクールの役割が高まっているとし「利用者の負担軽減、施設の支援など施策の充実をお願いしたい」と述べた。
米関税措置の見直し実現を、共同提言まとめる
会議では米国関税措置に対し、粘り強く交渉して関税見直しの実現を求める国への共同提言をまとめた。製造業や流通業などへの影響を懸念し、資金繰り支援など地方の産業や雇用への影響を最小限にとどめる対策の実施も要望している。
新田知事は全国知事会の農林水産物輸出拡大プロジェクトチームリーダーを務める立場から「米国での販売量減少や取引継続への懸念が強まっている」と指摘。国に対しては4月に、輸出先の多角化支援、国内生産への悪影響を防ぐ対策などを盛り込んだ緊急要請を行ったと説明した。
愛知県の大村秀章知事は終了後の記者会見で「中部地域は製造業を中心とした日本の成長エンジンだ。万全の措置を講じてもらいたい」と述べた。