富山県氷見市堀田の金属加工業・ケンシン工業は、かつて氷見の伝統産業だった「氷見針」製造で培った研磨技術を生かし、ペットの顔用ステンレス製くしを開発した。犬や猫が嫌がることが多い顔周りのブラッシングにも使いやすいよう、独自技術でよりコンパクトに、肌への刺激を少なくした。6月2日に発売する。

 氷見市は江戸期から昭和にかけ、国内第2位の縫い針生産地だった。ケンシン工業は1918(大正7)年に縫い針メーカーとして創業し、現在はアルミ建材を主力とする。針製造時代からつないできた研磨技術を軸に新たな商品を展開しようと、2020年から女性用やペット向けのくしを開発している。

 新たな商品は「わんにゃんフェイスコーム」。縦約6センチ、横約5センチのコンパクトサイズで、同社の技術の粋を集めた。くし歯となるステンレスピンの直径はわずか1・2ミリ。さらに先端は半球状に磨き上げてあるため、痛みを感じさせないという。持ち手はヒノキ材を使った。

 飯田和男社長(75)は「自社技術アピールのため行き着いたのがくし開発。社員が夢を持てるようになったし、新たな客層とつながることができたのもメリット」と言う。開発リーダーの川端総(ふさ)禎(よし)さん(54)も「新商品をどんどん開発したい」と意気込む。

 1個1980円(税込み)で、同社通販サイト、ひみ番屋街などで販売する。国内最大級のペット用品展示販売会「2025インターペット大阪」(6月13~15日)にも出品する。