法被まとい横笛演奏
富山県南砺市五箇山地域にある篭渡(かごど)集落は30日、初めて隣地区から助っ人を得て春季祭礼の獅子舞を行った。力を貸したのは、祭りが大好きで獅子取りから笛、太鼓までをこなす上平小学校6年の横山斗環(とわ)さん(11)=下出。ベテランの住民らと共に横笛を演奏し、獅子舞の継承に一役買った。
横山さんは園児の頃、地元の獅子舞を見たのがきっかけで魅了された。地元の下出だけでなく、五箇山地域の各集落ごとに異なる笛の音色を、動画投稿サイト「ユーチューブ」で研究し、独学で身に付けた。祭りに詳しいことで知られ、上平小では「獅子舞師匠」と呼ばれている。
15軒でつくる篭渡集落は、出身者や県外に出た学生の力も借りながら、毎年4月30日に春季祭礼の獅子舞を行っているが、少子高齢化で担い手不足に悩んでいる。平日に行われる今年は仕事で参加できない人もおり、此尾治和区長が、毎年獅子舞を見に来ていた横山さんに応援を依頼した。
横山さんは篭渡青友会の緑色の法被をまとい、家々を回る道中や家の前などで「舞い込み」や「げんばやし」を軽やかに演奏。「笛の音が舞や太鼓と一体となり、楽しかった」と充実感をにじませた。青友会長の此尾亮祐さん(39)は「篭渡の音程をちゃんとマスターしていて素晴らしい。本当に頼もしい」と目を細めた。
五箇山地域では獅子舞の担い手不足に悩む集落は多く、此尾区長は「これをきっかけに、互いに協力し合う関係ができればいい」と話した。