富山県南砺市北川の観光交流施設「道の駅井波」は、老朽化や地震被害に伴う設備の大規模改修を目的に、目標額1千万円のクラウドファンディング(CF)を26日から始める。施設は伝統工芸、井波彫刻の魅力を発信するとともに、防災拠点としての役割も担う。江尻大朗駅長(40)は「存続に向けて力を貸してほしい」と支援を呼びかけている。

 道の駅井波は1992年、「いなみ木彫りの里創遊館(そうゆうかん)」の名称で開業した。物産店やレストラン、観光情報コーナーの他、彫刻工房も併設。隣接する井波彫刻総合会館とともに、地域の魅力を発信してきた。高台に位置し、広い駐車場も備えることから、能登半島地震の発生時には多くの住民の避難場所にもなった。

 ただ、開業から30年以上がたち、内装や空調、消防設備の老朽化が進む。地震の影響で照明が破損する被害もあり、多くの修繕が必要となっている。

 2020年以降は新型コロナウイルスの影響で売上が大きく落ち込んだものの、「爆盛り」メニューやぐい飲み作り体験などユニークな企画を実施。人気を集め、23年度以降は売上がコロナ前の水準に回復した。

 経営努力を重ねてはいるが、現在は市から運営資金の助成は受けておらず、原価償却費や維持管理費の高騰などで苦しい状況が続く。CFで支援を呼びかけ、集まった資金は設備の修理費用に充てる。

 CF期間は6月23日まで。千~20万円の支援コースを用意する。南砺市産のワインやビール、施設貸し切りプランといった返礼品がある。目標額に達しなかった場合は全額返還する。

 江尻駅長は「歴史ある土地の観光施設として、これからも役目を果たせるよう支援をお願いしたい」と話している。