氷見市の諏訪野公民館に26日、子ども食堂が開設される。市内の小学校で校長を歴任し、地元で農業を営む澤武俊一さん(64)が開く。19日に住民を招いた試食会があった。諏訪野の周辺は能登半島地震で大きな被害を受け、公民館近くで災害公営住宅の建設も予定される。「いずれは子どもだけでなく、地元住民と公営住宅入居者も集い交流する地域食堂にしたい」と澤武さんは語る。

 教員時代、経済的に恵まれないなど困っている子どもと接してきた澤武さんは退職後も支援を続けたいと、子ども食堂の設立を決意。雄峰高校で調理を学び、準備を進めてきた。身に付けた料理の腕と、自作のコメを生かしたメニューを提供していく。

 19日の試食会はカレーを出した。辛さを変えた3種を用意し、トッピングにカツやハンバーグをそろえた。味わう住民のそばに寄り、子どもが好む味にするにはどう工夫すればいいかを熱心に聞き取った。澤武さんの教え子で近くに住む吉瀧光弥さん(34)は「おいしい。子どもが4人いて共働きなので大変助かる」と笑みを見せていた。

 澤武さんには子ども食堂用の菜園を作る計画もある。住民から栽培ボランティアを募り、地域に仲間を増やしていきたいからだ。

 諏訪野の周辺は公費解体される住宅が多く、液状化で20センチ傾いた公民館も昨年、復旧工事が行われ、なんとか使える状態になったという。地震で地域コミュニティーまで壊さないために、澤武さんは「どんどん仲間を巻き込み、みんなの思いやりが集まる食堂にしたい」と張り切っている。

 食堂名は「サーブ子ども食堂」で月1回営業し、夏休みは毎週開く予定。市社会福祉協議会によると、市内6カ所目の子ども食堂になる。