錫の器で食事提供・鋳物製作…

 富山県氷見市阿尾の民宿「ひみ栄和温泉元湯 叶(かのう)」は高岡市の鋳物メーカー「能作」と共に宿泊と体験観光を組み合わせた新プランの提供を始める。叶で宿泊客に能作の錫(すず)の器で食事を楽しんでもらい、能作で鋳物の製作体験や工場見学をしてもらう。15日、叶で錫の器に盛った料理が披露された。

 叶は2月、宿泊施設を表彰する「楽天トラベルアワード2024」の金賞に輝いた。錫製品で有名な能作の工場はカフェを併設し年間約13万人が来場する人気施設になっている。両者が“強力タッグ”を組むことで国内外から誘客を図り、県西部の観光の広域連携と能登半島地震からの復興を推し進めたい考えだ。

 料理は氷見牛のステーキ、地魚の寿司、ナガラモ入りの氷見うどん、旬の食材の天ぷらなどに刺し身の舟盛りがつく。プランは土蔵を改修した個室(温泉の部屋風呂付き)の宿泊客が対象で1日1組限定。宿泊の前後に能作で製作体験や見学、買い物をしてもらう。

 能作の能作克治会長は「工場の来場者から、泊まる所がないとの声も聞く。宿泊施設との連携を進め、県西部にもっと観光客を呼び込みたい」という。宿のおかみ、叶美千代さんは「観光客を誘導し合うことで氷見、高岡両地域の絆を深め、共に活性化するようにしたい」と意気込んでいる。

 新プランは16日から叶のホームページで予約できる。宿泊料金は利用人数、曜日、季節などで変わる。