富山県南砺市の老舗生地メーカー、今井機業場で高機能サウナハットを開発した松平(まつひら)崇司さん(43)=同市=は、サウナ好きが高じてダイナミックなタオルさばきで熱風を送る熱波師デビューを果たした。勤務後に南砺や高岡市内の温浴施設に出向き、熱波とアロマの香りで利用客を癒やしている。松平さんは「サウナを通じて地元を盛り上げたい」と意気込んでいる。

 松平さんは昨年、通気性や吸放湿性に優れた特殊なニット生地を使い、のぼせることなく「整う」ことができるサウナハット「のぼせシラズ」を商品化した。

 元々、温浴施設に通うサウナー(サウナ愛好家)で、2022年に日本サウナ・スパ協会のサウナ・スパ健康アドバイザーの資格を取得。24年には日本サウナ熱波アウフグース協会の熱波師検定に合格した。

 のぼせシラズを購入した人が熱波師だった縁などもあって誘いを受け、今年1月に高岡市の温浴施設でデビューした。2月からは南砺市の温浴施設「37BASE」で活動している。

 37BASEでは、告知せずに行うロウリュウサービスのスタッフの1人として、「ほかほか」の名前で活動。仕事を終えた平日夜や土、日曜に週4回担当している。自ら開発したハットをかぶり、選曲した音楽を流しながら、タオルで熱波を送る。サウナストーブに自らブレンドしたアロマ水をかけ、岩盤浴では霧状のアロマ水を噴霧して心地良い空間を演出する。「アロマの構成や曲、トークを考えるのも楽しく、お客さんから『良かった』と言われると励みになる」と話す。

 「右手4・8」の名前で活動する先輩格の男性(55)は「香りと熱波でお客さんを楽しませている。タオルさばきは経験を積めばもっと上手になる」と温かいまなざしを向ける。

 城端曳山(ひきやま)祭で東下町の地方を務める松平さんは「得た知識や体験はお客さんに楽しんでもらう意味で祭りにも生きる。自分も楽しみながら続けていきたい」と充実感をにじませた。