富山県の黒部宇奈月キャニオンルートの上部専用軌道で使われていた専用鉄道車両が黒部市宇奈月温泉の宇奈月公園前広場に設置され、展示が28日に始まった。高温のトンネル「高熱隧道(ずいどう)」を走行した耐熱客車や蓄電池機関車で、市は一般開放が延期されている同ルートを間近に感じてもらい、機運を盛り上げたい考え。
上部専用軌道は、黒部川の仙人谷ダム建設時に物資輸送路として設けられた。現在管理する関西電力は、キャニオンルートの一般開放に向け、参加者が乗る上部専用軌道の車両をより安全性の高いものに更新。旧車両を黒部市に寄贈し、市が展示した。
黒部峡谷鉄道で使われたトロッコ電車は市内の数カ所で展示されているが、上部専用軌道の車両展示は初めて。
展示された車両は蓄電池機関車1両と耐熱客車2両。昨年6月まで現場で使われていた。狭いトンネルを通るため、全長は機関車約5メートル、客車約3・6メートルとトロッコ電車の車両よりも小さい。高熱隧道では窓が曇ることから、手動式のワイパーが取り付けられている。
28日は披露式があり、武隈義一市長が「一般開放に向け機運が高まるといい」、須谷浩史関電北陸支社長が「ルートのシンボルとして、新たなランドマークとなることを期待する」とあいさつした。地元の児童らが車両を見たり車両に乗ったりして楽しんだ。