富山県の立山カルデラ砂防博物館の講座「立山から南極へ」が2日、同館であり、第66次南極地域観測隊の夏隊に参加し、2月25日に帰国した県環境科学センター大気課の研究員、木戸瑞佳さん(53)が成果を報告した。南極で出合った動物のことや、オゾンホールに関する研究用の機械を設置したことを説明。「無事に成功して良かった」と振り返った。
木戸さんは、福岡大などが進める大気に関するプロジェクトの測定機械を設置するために南極に向かった。プロジェクトを始める重要なミッションで、木戸さんは夏隊の滞在期間の約40日間で任務を終えて帰国した。
観測隊の作業着姿で登壇した木戸さんは、ペンギンやアザラシなど極地で生きる動物や現地の気象現象を写真を交えて紹介した。ペンギンの群れに出くわした時を「いつまでも見ていたいと思えるほどかわいかった」と話した。
プロジェクトについても説明した。南極上空でオゾンの量が極端に少なくなる現象「オゾンホール」と大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の関係性、エアロゾルの量の変化を5年かけて調べるという。エアロゾルは水分と結び付いて雲をつくることから、今後の気象変動の研究への応用が期待できるとした。
木戸さんは「研究結果はすぐに出ない。5年後に成果が出るのを楽しみにしてほしい」と語った。
講座は南極観測に県民が携わっていることを知ってもらおうと、木戸さんの帰国に合わせて開いた。