高血圧管理の有用性に関する臨床研究:Ex-SMART試験を開始
医療・ヘルスケア分野のアプリ・Webシステムを開発するキュアコード株式会社(代表取締役:土田史高 本社:富山県富山市 以下キュアコード)は、三重大学と共同で開発している心疾患・心不全患者向けスマートフォンアプリ「ハートサイン」において、新たな臨床試験 Ex-SMART試験を開始したことをお知らせいたします。

ハートサインでは2022年から現在まで、アプリ利用による心不全増悪の早期検知、心不全再入院率低下、運動耐容能向上等の有効性を検証すべく、症候性心不全・心筋梗塞患者様を対象として2つの臨床試験を実施しています。この度開始したEx-SMART試験は、心不全ステージの初期段階である高血圧を対象とし、より早い段階での健康に対する意識向上、行動変容を促すことを目指しています。
■研究の背景・経緯

心不全は、全世界でその罹患者数が増加しており、「心不全パンデミック」とも呼ばれている重要な国民病です。個人の健康や医療現場に及ぼす影響に限らず、介護を含む医療費を逼迫することも指摘されています。
また、心不全は進行性の疾患であり、そのステージでは高血圧や糖尿病といったリスクを有する段階から、器質的疾患(心筋梗塞など)を発症した段階、そして症状を有する心不全のステージへと進展します。その後、入院を繰り返すことで、や身体機能が低下していきます。多くの場合完治しないとされているため、症状の兆候をいち早く見つけ、生活習慣の見直しや、適切な段階での医療機関への受診と治療へつなげていくことが非常に重要な疾患です。
継続的な自己管理が重要となるため、これまで紙媒体の「心不全手帳」を用いて患者様自らバイタルデータや病状を記録・管理してきましたが、その利便性や継続性には課題がありました。このような背景から、三重大学医学部附属病院循環器内科とキュアコード株式会社は、より手軽かつ効果的に自己の疾患管理を行えるPersonal Health Record (PHR) アプリ「ハートサイン」の共同開発を進めてまいりました。
ハートサインの基本機能である血圧や脈拍数、体重等の入力測定値と自覚症状に応じて自動的にリスクを判定し受診を促す機能を用いて、心不全症状の見逃しによる再発や緊急入院のリスク軽減を目指してきました。これらのデータは医療者で確認され、外来診療やリハビリテーション、療養指導等に活用されることで質の高い診療支援を提供することも目的としています。そして今回、生活習慣病の代表格であり、心疾患・心不全の主要なリスク因子である「高血圧」の管理ニーズに応えるべく、対象患者層を拡大し、さらなる社会実装を目指してアプリを大幅にリニューアルいたしました。
■リニューアルの主なポイント

◇デザインの全面刷新
ロゴマーク、アプリアイコンを含む全体のデザインを一新。親しみやすいキャラクターを導入しました。
より直感的で分かりやすいインターフェースとなり、ユーザーがストレスなく日々の健康管理に取り組めるよう、UXの向上を図っています。
◇高血圧症患者向けに追加された新機能
1.リスク判定とメッセージ
先に行ってきた心疾患・心不全患者向け研究では、日々の測定情報に応じて大きく3段階のリスク判定(レッドサイン、イエローサイン、通常時サイン)を提示していましたが、本研究では、高血圧治療ガイドラインに基づいた判定により、生活習慣アドバイスをアプリ内メッセージでお届けします。
2.クイズ形式で学べるコンテンツ「ハートケアブック」
高血圧や心不全に関する知識を、アプリ内で手軽に学べる学習コンテンツとして追加しました。
暮らしの中で注意することや病気に対する正しい知識を医師・看護師ら監修によるクイズやコラムで、いつでもどこでも何度でも習得できます。コンテンツを楽しみながら疾患理解を深め、自己管理能力の向上を支援します。
3.日々の血圧測定結果を集計した「血圧トレンド」
記録されたデータはグラフで視覚的に確認でき、ユーザー自身が状態を把握しやすくなります。
また、医療機関との連携も想定し、月次データからサマリの自動生成を行う機能など医療従事者間のコミュニケーションを円滑にするための情報共有基盤を構築しています。
■医師コメント
研究代表者
三重大学大学院医学系研究科循環器・腎臓内科学教授 土肥薫

高血圧は心不全や心筋梗塞の大きなリスク因子です。本研究では、スマートフォンアプリ「ハートサイン」を活用し、日々の血圧管理や生活習慣改善を支援することで、自己健康管理の新たな可能性を検証します。身近なデジタルツールを通じて早期からの予防を促し、多くの方の健康と生活の質の向上につなげたいと考えています。
■デザイナーコメント
株式会社ケーススタディ クリエイティブディレクター / デザイナー 坂本 克明

「ハートサイン」のロゴは、テクノロジーと人の営みを融合し、日常の健康管理を身近に支える存在でありたいという、アプリの設計に込められた想いをもとにデザインされています。
テクノロジーや医学的知見を象徴する グリーン~ブルー と、生命力や活力を表すオレンジ~レッドピンクのグラデーションカラーによる2つのオブジェクトは、それぞれ数値的な客観性と生物的な実感を表す“鼓動”を象徴しています。これらが互いに寄り添い、調和して重なり合うことで、ひとつの「ハート」を形づくっています。

図:キャラクター「リンドン」
本キャラクターは、「ハートサイン」アプリの利用者との親和性を高め、日常的な健康管理をより身近に感じてもらうことを目的としてデザインされました。 医療分野においても、専門的な情報や指示が一方的にならないように、励ましや注意喚起など、日々の健康管理の伴走者としての役割を担い、ユーザーが安心してアプリを利用できるコミュニケーションの橋渡し役として活用されます。
■今後の展望
本研究はAMED採択事業であり、先の研究であるフェーズ1(心不全患者対象:MIMAMORI-CHF)、フェーズ2(心筋梗塞患者対象:SHARE-CR)に続き、この度の最終フェーズの研究を通じて、「ハートサイン」の有効性とそのエビデンスを確保するとともに、さらなる機能強化と普及に努めてまいります。将来、より多くの患者様、生活習慣の維持・改善をめざす全ての方への展開を目指し、医療機関や自治体等との連携を深めながら、ユーザーのQOL向上と社会に貢献してまいります。
AMED採択事業についての詳細は以下よりご覧いただけます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000103467.html
*AMEDとは…本研究は、医療分野の研究開発及びその環境の整備の実施・助成等を担う国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による令和5年度「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(健康・医療情報活用技術開発課題)」採択事業です。
ハートサインアプリについての詳細は以下よりご覧いただけます。
https://heart-sign.jp/app/
※ハートサインは臨床研究中で使用中のため、現在、研究に同意した参加者のみご利用いただけます。
一般の方のご利用に向けて研究・開発・改良を行っています。
<キュアコード株式会社について>

2011年創業。医療・介護・健康などヘルステック分野を中心としたITベンチャー企業。
医療・ヘルスケアアプリ・システムの研究開発だけでなく企画立案やデザイン、運営事務局、カスタマーサポートまでを一貫して手がけています。自治体および研究機関と産学官連携の推進も行っています。

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