富山県立山町は、町内のホテルや旅館など宿泊施設の利用者に課す宿泊税の導入を目指す。時期は2027年4月からで、山岳地の環境保全に充てる考え。導入されれば富山県内初となる。今年10月中旬にも外部検討委員会を立ち上げる。
3日の立山町議会9月定例会の提案理由説明で、舟橋貴之町長が説明した。
町には中部山岳国立公園があり、多くの観光客や登山客が立山黒部アルペンルートなどの山岳観光地を訪れる。一方、受け入れ環境の整備や登山道の維持管理に多額の費用が必要となっており、舟橋町長は「立山駅周辺を含む国立公園などの環境整備の財源確保のため導入を検討する」と述べた。
町によると、旅館・ホテルが13、山小屋など簡易宿泊所が30ある。検討委員会は有識者で構成し、条例制定に向け、課税額や使途などを議論する。
宿泊税は全国の自治体で「定額制」と「定率制」に分かれる。19年に条例を施行した金沢市は定額制で、1人分の1泊の料金が2万円以上で500円、2万円未満なら200円を徴収。24年10月からは5千円未満を非課税とした。
このほか、26年度の導入を目指す沖縄県は、宿泊料の一律2%を徴収する定率制を採用し、1人1泊につき2千円を上限とする内容の条例案を県議会9月定例会に提出する。都道府県単位で定率制の宿泊税を導入するのは全国初で、修学旅行生と引率者のほか、部活動などに伴う宿泊では徴収しない計画という。
◆宿泊税◆ ホテルや旅館などの宿泊客に課す税。東京都が2002年に全国で初めて導入した。地方税法に定める税目とは別に、自治体が条例で独自に新設できる「法定外税」という位置付けで、新設には総務相の同意が必要となる。1人1泊につき一定額を徴収する「定額制」が多く、税収は観光振興などに充てている。