富山県砺波市鷹栖のブドウ農家、猪原建実(たつみ)さん(36)が31日、同所にある農園内に直売所を設け、ブドウの販売を始める。2022年に脱サラして農家に転身してから、自ら育てたブドウを販売することは念願だった。現在、甘み十分に育っており、「たくさん食べて喜んでもらいたい」と意気込んでいる。

 猪原さんは22年3月末で働いていた金融機関を退社し、23年に就農した。きっかけは、砺波市内の農園で強い甘さの品種「クイーンニーナ」を味わったこと。自分で栽培したいと、苗木2本を購入してからのめり込んだ。南砺市内の農園でノウハウを学び、本を読みあさって知識を得た。富山市のやまふじぶどう園で1年間研修もした。

 農園は自宅そばにあり、広さ1ヘクタールで15品種の栽培からスタート。ハウスやブドウ棚をつくり、生育環境を整えながら今では1・5ヘクタールまで広げた。名称は「イノハラぶどう園」。観光農園の開業を目標とする。「地盤の整備から販売まで全てを行うのは大変だが、いろいろなことができるのでやりがいがある」と笑顔を見せる。

 今年は順調に育っているという。「毎日水を重点的にやることを徹底した。晴れが続いて小さい粒になりがちだが、甘みが凝縮されている」と語る。

 直売所では、10種類以上を房か粒の状態でパックやボトルに詰めて販売する。ジュースやジェラートなども提供するという。販売期間は9月末までの金土日曜。

 来年は収穫体験をできるようにし、開園期間を延ばすほか、販売品種や量を増やしたいという。猪原さんは選択の意の「Choice(チョイス)」を大切にしたいと言い、「色や香り、味、酸味など好みを見つけられる園にしたい」と話す。問い合わせは同園のホームページまたはSNS(交流サイト)。