政府が随意契約で放出した備蓄米の販売が10日、富山県内で始まった。富山市高木西のスーパー「原信 呉羽店」が2022年産の5キロ入りを240袋用意。価格は1袋税込み2160円で、整理券を求める人が未明から並んだ。整理券の配布は開店の30分以上前に終わり、完売した。

 1家族につき1袋限りの販売とした。先頭は午前0時に並び、同6時半ごろには80人ほどが列をつくったという。整理券の配布は同8時15分から始め、10分後に終了。同9時の開店とともに、希望者が順に備蓄米が入った袋を受け取った。

 先頭の氷見市上泉、県立大2年、金井慧生(さとき)さん(20)は「最近は安い玄米でかさ増しして炊いていた。今日はたくさん白米を味わいたい」とうれしそうに話した。

 一方、同8時半に訪れた富山市布目、無職、光盛枝美子さん(73)は整理券の配布が終わったと知り、「残念」と肩を落とした。能登半島地震で石川県輪島市の自宅が全壊。富山市に移り住み、夫を介護しながら生活している。「コメがないと生きていけない。次回は何とか購入しないと」と語った。

 原信を運営しているアクシアルリテイリング(新潟県長岡市)は、随意契約で22年産の1110トンを調達。外部の業者に精米を委託し、この日の販売にこぎ着けた。県内の残る3店舗でも、6月中旬~下旬の販売開始を目指す。

 随意契約の備蓄米は今後、県内で流通が本格化する。クスリのアオキは12日、県内95店舗で5キロ入りを20~30袋ずつ販売する。13日は格安スーパー「ラ・ムー高岡東店」(高岡市井口本江)、14日にはアルビス大島店(射水市本開発)とコンビニ大手のローソンが販売を予定している。