能登半島地震からの復興を朗読で応援しようと、朗読グループ「言の葉」(立田ひろみ代表)は17日、石川県輪島市の仮設集会所と公民館で「おはなし会」を開いた。仮設住宅で暮らす市民に向けて、輪島朝市の様子を描いた絵本を披露し「一日でも早く、絵本のようなにぎわいが戻ってほしい」と願いを込める。

 「言の葉」は、2015年に本好きの仲間で結成し、富山県内の小学校や公民館で本の読み聞かせを行うほか、富山市民プラザで毎年朗読会を開いている。昨年10月の朗読会では、能登半島地震や豪雨災害からの復興を願い、能登地方を題材にした朗読を披露した。

 代表の立田さん(富山市)は「現地でも朗読会を開き、応援していることを伝えたいと思うようになった」と話す。

 行動を起こすきっかけとなったのは、今年2月に発生した岩手県大船渡市の大規模山林火災だ。立田さんの友人宅が火災で全焼したことを知り「家がなくなるのは、思い出も全てなくなってしまうということ。輪島の人々も一緒だ」と胸を痛めた。会のメンバーに現地で朗読会を開きたいと伝えると、快く協力してくれた。

 この日は、18人のメンバーが出演し、登場人物の衣装をまとって「らくごえほん てんしき」や時代小説「梅薫る」を披露。輪島の朝市を描いた絵本「あさいち」では、新聞紙で作った野菜や海産物、乾物といった小道具を並べ、市場の活気ある雰囲気を演出した。

 立田さんは「クスッと笑う表情や涙を流す市民の姿が忘れられない。朗読を通して応援できて良かった」と実感を込めた。