富山県南砺市と姉妹都市である中国・紹興市出身の王淇樑(おうきりょう)さん(35)=南砺市福光=が、母国から多肉植物や観葉植物を輸入し、北陸で卸売りを手がけている。紹興市出身者が南砺で起業した第1号で、市内の耕作放棄地を活用した実証栽培も始めた。「珍しい植物を育て、将来的には若者らが訪れる観光農園にしたい」と意気込んでいる。
王さんは元小学校教員で、妻の叔父が福光と交流が深い貿易商だった縁で、2022年に来日した。現在は妻と小学生の長男の3人で暮らす。当初は石の花器を販売していたが、「緑のある暮らしを届けたい」と24年から多肉植物や観葉植物の取り扱いを始めた。
特に多肉植物は、ぷっくりとした見た目と管理のしやすさから若者に人気がある。「多肉植物の聖地」と呼ばれる雲南省や福建省から空輸で仕入れ、北陸3県と岐阜県の園芸店向けに卸している。
今後は、南砺市内の耕作放棄地を活用した栽培を目指す。南砺の気候に合うか試験的に栽培しており、王さんは「人口が減って耕作放棄地が増える中、地域の課題解決にもつなげたい」と力を込める。
王さんは福光地域と紹興市との民間交流団体「福紹会」の会員でもあり、民間交流の促進にも貢献している。友好訪問団が3月に訪中した際に通訳を務めたほか、福光で中国文化を伝える活動にも取り組む。王さんは「交流がもっと活発になるよう、日中友好の架け橋になりたい」と話す。
福紹会理事の池田真一さん(60)は「王さんがいることで、紹興市とのパイプがより太くなった。王さんのような起業の成功例も増えていけばいい」と期待する。