広告大手博報堂(東京)の水島正幸会長と名倉健司社長が16日、DX(デジタルトランスフォーメーション)連携協定を結ぶ富山県朝日町を訪れた。公共ライドシェアやマイナンバーカードサービスの現状を視察し、生活基盤として定着しつつある状況を確認。名倉社長は地域の課題は国の課題に共通するとし、「朝日町での取り組みをベースにしたモデルを広めていきたい」と展望を示した。
朝日町と博報堂は2020年に公共ライドシェア「ノッカル」をスタート。21年にDX協定を締結し、23年度にマイナカードを活用した公共サービスパス「ロコピ」を始めた。町に派遣された同社員が役場職員と運営を担っており、取り組みは住民参加型のデジタル施策として国や全国自治体の注目を集めている。
この日は、水島会長と名倉社長が笹原靖直町長らと町内を回り、ノッカルやロコピの利用状況を視察。町民や事業者から取り組みの効果を聞いたほか、ヒスイテラス(同町宮崎)のカフェでロコピ登録したマイナカードを使い、電子地域通貨のタッチ決済を使った。
5年間の事業展開を振り返り、名倉社長は「利便性の高まりや地域活性化につながり、住民の笑顔が増えたように感じた」と手応えを語った。「住民による共助の形で、新たな生活環境を生む成果が出せた」とも評価した。
町長は「マンパワーが足りない町にとって外部の力は不可欠で、博報堂との協力は追い風になった。今後も官民の垣根を越えた連携を進め、導入プロセスも横展開できればいい」と期待した。