明治の文豪、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の功績を伝える「富山八雲会」が9日、大阪・関西万博の会場で、欧州各国の文化にちなんだイベントに参加した。ハーンが幼少期を過ごしたアイルランドを紹介する出し物として、ハーンの怪談作品を基にした紙芝居を披露。著作の魅力や富山とのつながりを伝えた。

 同会はハーンの蔵書を集めた富山大の「ヘルン文庫」の普及などに取り組んでいる。昨年、文庫の開設100周年を記念したイベントで紙芝居を上演したところ、駐日アイルランド大使館が関心を持ち、万博での披露を依頼された。

 9日は欧州連合(EU)の「ヨーロッパ・デー」で、イベントにはフィンランドやスウェーデンなど計5カ国が参加した。富山八雲会の中尾哲雄会長ら会員4人と、三味線奏者の濱谷拓也さん(富山市)が、商人がのっぺらぼうに出くわす怪談「むじな」を上演。三味線の演奏に合わせ、会員が英語と日本語で交互にナレーションとせりふを読み、感情を込めて演じた。

 あいさつでは、蔵書を通じて富山との縁が深いことも紹介した。披露を終えて中尾会長は「八雲を通じて富山を世界にアピールする場になった。アイルランドとのつながりをさらに深めたい」と話した。