日本一の落差350メートルを誇る富山県立山町の称名滝に向かう県道(通称・称名道路)が28日、冬季閉鎖を終え、滝の手前の称名平駐車場まで開通した。駐車場そばの展望台からは、称名滝や春の雪解け時に現れる落差500メートルのハンノキ滝など、渓谷の絶景を楽しめる。滝のそばに通じる遊歩道は残雪のため、通行止めが続く。

 遊歩道は例年、4月下旬ごろから散策が楽しめるが、今年は雪崩の危険があり、県などは5月中の開通を予定している。28日は早速、多くの観光客が称名平の展望台を訪れた。愛知県瀬戸市の会社員、長谷川健さん(58)、暁さん(55)夫婦は「近くまで行けなくても楽しめた。幻のハンノキ滝も見ることができた」と喜んだ。

 安全祈願式が近くの飲食店・売店「レストハウス称名」前であり、佐伯睦麿雄山神社宮司が祝詞を奏上し、出席者が玉串をささげた。

 町観光協会は立山駅近くの立山観光案内所で、電動キックボードや折りたたみ電動カート、電動アシスト付きマウンテンバイク(E-BIKE)のレンタルも始めた。舟橋貴之町長は「立山駅は立山黒部アルペンルートの起点だけでなく、富山市の立山山麓エリアを含めた周辺観光の拠点。今シーズンも盛り上げていきたい」とあいさつした。

 称名滝を巡っては、立山カルデラ砂防博物館が昨年の調査で、落差日本一であることを改めて確認した。詳細な地形調査は63年ぶりで、日本一の称号にお墨付きが与えられ、さらなる魅力アップに期待が高まっている。